27・歯のケアでは失敗しました
歯ブラシを軽視しました
９６年は２９回。９７年は１２６回、徘徊に同行した記録を残した頃のことです。妻とは言葉もかみ合わなくなり、ヘルパーさんの介護を受け入れなくなり、困る日が多くなりました。妻が作っていた食事を、私が作るようになり、美味しい料理を作るのに四苦八苦していました。
時を同じく、妻は入浴を嫌がり、トイレが分らなくなり、洗面も、歯ブラシもしなくなっていました。
私には、一度に介護負担が増え、ストレスも倍増していた頃のことです。あれやこれやの試行錯誤を繰り返す一方では、在宅介護の継続をするコツの一つに、介護負担を軽減するためには、手抜きできることは、出来るだけ手抜きしょう。と思い込んでいました。その一つに、洗面と歯ブラシを含めていました。
「洗面や歯ブラシ」を止めたくらいで、死ぬことも無いだろう。そして数年間、歯ブラシをせずに過ごしていました。それは重大な、私の思い違いでした。
歯ブラシを欠かしたバッカリに
しかし歯ブラシは、欠かせない介護のイロハの一つでした。歯ブラシを怠ったばっかりに、妻はあっという間に、むし歯が出来ていました。歯茎は赤く腫れあがり、歯がぐらぐらしています。口臭が強く、血性の唾液が枕カバーと、シーツの上に流れ出すようになりました。
歯周炎による痛みのためか、私が折角作り上げた料理も、食べてくれなくなって行きます。
歯ブラシを軽視した、私の介護は失敗でした。妻の歯は僅か一年ほどの間に、一本，二本、三本・・と上顎の歯は、奥歯を一本のこしたまま全部抜けるか、欠けてしまいました。歯が無くなるのに比例して、硬いものは噛めなくなって行きます。今では私は歯がなくても、食べられる食事を作ることに苦労しています。
訪問歯科診療を受ける
2000年11月16日から訪問看護師さんの指導で、二人がかりで歯ブラシを始めましたが、とき既に遅しでした。ケアマネージャーの紹介で、２００２年１月24日から訪問歯科診療を受けることが出来ました。とても親切で、丁寧に治療が受けられ感謝しています。ぐらぐらしている歯は抜いていただきました。歯垢も取ってくださいました。歯ブラシのやり方も指導していただいて、歯周炎はすっかり良くなりました。
フードプロフェッサーを使っての料理に挑戦。
歯ブラシをするのを嫌がるかと思っていましたが、嫌がらずに続けられています。妻は歯ブラシを続けるようになって、歯周炎は無くなり、歯茎もしまってきました。
しかし、抜けた歯も、欠けた歯も戻ってきません。奥歯が一本あるだけですから硬いものは食べられなくなりました。呑込む機能も奪われ始めたのか、のど越しの悪いものも呑込めないでいます。
例えば、胡瓜を薄くきざんだ「胡瓜もみ」でも、二日間口のなかで、もぐもぐ口をうごかしながら、噛み切れず、呑込めず持っていました。
歯茎をつかって、咀嚼できる料理を、あれこれと工夫してみています。ミンチ食にしてしまうと、あれもこれも同じで、見た目に楽しみがありません。出来るだけ、形を残して、噛み切れる料理を、さらにとろみをつけ、のど越しを好くする工夫をしています。
モロヘイヤ・オクラ・とろろ芋・片栗粉などを混ぜると、のど越しがよくなることも憶えました。
先月、フードプロフェッサーを進められて、買いました。調理時間が短縮できて助かっています。
歯ブラシをサボった、介護の失敗のツケの大きさを噛みしめています
2003年8月19日記載